サターン5ブースタの第三段目であるS-IVBは、
すでに地球軌道に到達したアポロ宇宙船を月への飛行(Translunar injection:TLI)に向かわせます。
そして自らも月へ飛行を続け、最後には月に墜落します。
直径: 21ft 8in (6.604m)
高さ: 58ft 7in (17.8562m)
乾燥重量:33600lb (15.24ton) (7700lbのAft.Interstageを含む)
全重量:265600lb(120.47ton)
製造:マクドネルダグラス(McDonnell Douglas Astronautics Co. Huntington Beach, Calif.)
燃焼時間:
1回目:約2.75分
2回目:約5.2分
到達速度:
1回目燃焼後:約17500mph(28157.5km/h)
2回目燃焼後:約24500mph(39420.5km/h)
到達高度:
1回目燃焼後:約115mile(185km)
2回目燃焼後:月軌道
S-IVBは、上から順に、Forward Skirt, Propellant Tank, Thrust Structure, Aft Skirt,Aft Interstage の5つのユニットより成る。
また、S-IVBには1台のJ2エンジン、2台のアレッジ(Ullage) Rocket、2セット8台の姿勢制御ロケット、4台のS-II逆噴射ロケットが搭載される。
Forward Skirt Assembly
本体の最上部、IUと接続するリング状部分がForward Skirt Assemblyである。
これはアルミニウムで作られ、各種電子機器、アンテナ、そしてそれらを冷やす冷却システムが搭載されている。
冷却システムは、IUによって制御される。
またここには、2台のDC28Vのバッテリが搭載されている。
2つのテレメトリアンテナは、機体の各種情報をPCM/FM変調したデジタル信号で地上に送信する。
Propellant Tank Assembly
本体中央部を大きく占めるのか燃料タンクである。これは、上部約3/4がLH2(Liquid Hydrogen:液体水素)タンク、下部約1/4がLOX(Liquid Oxygen:液体酸素)用に分かれている。
また、LH2タンクの内部には、タンクを加圧して燃料をエンジンに押し出すための円形ヘリウムタンクが8個取り付けられている。
このタンクはアルミニウム合金で作られており、内側には重量削減と強度増強のためのワッフルパターンが削り込まれている。
LOXタンクの内側には、飛行中に液体酸素が波立たないようにするため、slosh-baffleと呼ばれるリング状の板が取り付けられている。
LH2タンクの内側には、タイル状のグラスファイバー断熱材が貼り付けられる。
LOX、LH2とも、注入の初期は、タンクが冷えるのを待つため、ゆっくりとしたスピードで注入される。
続いて高速注入が行われ、最後にゆっくりと100%になるまで充填される。
注入か終わると、打ち上げまでの間、気化で失われた分をつねに補給し続ける。
LOX
温度:華氏-297度
圧力:38-41psia
燃料注入速度:
タンクの5%まで:500gpm(gallons per minute)
タンクの98%まで:1000gpm
タンクの100%まで:0-300gpm
LH2
温度:華氏-423度
圧力:31-34psia
燃料注入速度:
タンクの5%まで:500gpm(gallons per minute)
タンクの98%まで:3000gpm
タンクの100%まで:0-500gpm
Thrust Structure Assembly
本体下部に円錐状につきだし、先端にJ2エンジンを搭載しているのが Thrust Structure Assembly である。
ここには、J2エンジンの他に、その向きを変える(ジンバルさせる)ための油圧システム、
予備の加圧用円形ヘリウムタンク、O2/H2バーナーなどが搭載されている。
このO2/H2バーナーは、1回目の噴射の後、TLIのための2回目の噴射時に、冷えすぎたヘリウムを暖めるのに使用される。
Aft Skirt Assembly
本体の最下部、Aft Interstageと接続するリング状部分がAft Skirt Assemblyである。
ここには2つの姿勢制御ロケット(Auxiliary propulsion system:APS)と、2つのUllage Rocket、
1台のDC28Vバッテリと、1台のDC56Vバッテリが搭載されている。
姿勢制御ロケットは、S-IVBとは完全に独立した噴射システムで、その中に専用の液体燃料タンクを持ち、
機体の向きを3軸方向に制御することができる。
Ullage Rocketは、宇宙空間でタンク内の燃料を、その底に押しつけるための加速度を加えるための固体燃料ロケットで、
J2エンジン噴射前に点火される。このロケットは点火終了後切り離される。
Aft Interstage Assembly
この円錐状の部分は、直径の異なるS-IVBとS-IIを空力的にスムーズに接続する。
この部分はS-IIに固定されており、4台のS-II用逆噴射ロケット(Retro Rocket)が内蔵されている。
切り離し
S-IIとS-IVBの間の切り離し制御装置はS-IIに搭載されている。
このS-II Flight Sequencerが、S-IIのエンジンカットオフの3秒後にS-IVBに搭載されている
切り離し装置(EBW)にパルス信号を送信する。
するとEBWから、2300Vの発火信号がヒューズ(MDF)に送られ、発火/切断される。
つぎにS-II Flight SequencerがAft Interstageに搭載された4台の逆噴射ロケット(Retro Rocket)を1.5秒間噴射する。
これによりS-IIはS-IVBから離れていく。
Range Safety System
Forward Skirtには2台のRange Safetyアンテナが搭載されている。
これは、非常事態が発生したとき、地上からの信号を受け、LOX、LH2タンクを切り開く点火装置を作動させる。
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