IU(Instrument Unit)は、SaturnV全体を制御するコンピュータシステムです。
地上から地球軌道上まで、ロケットの行き先はIUによって決められます。
直径:260in (6.604m)
高さ:36in (0.9144m)
平均重量:4500lb (2.04ton)
製造:IBM (International Business Machines Federal Systems Div. Huntsville, Ala.)
SaturnV の IU は、SaturnI で使用されたものをベースにして、NASA MSFC(マーシャル宇宙飛行センター)
によって開発され、組み立て、製造、テストはIBMが請け負った。
IUには、誘導、追跡、位置決め、データ通信に必要な電子機器が組み込まれている。
本体は3つの内角120度のアルミニウムハニカムのパーツを円形に組み合わせ、上下にアルミニウム合金の
チャネル材を取り付けることによって構成される。
地上設備とIU内部の機器をつなぐumbilical(へその緒)コネクタには、スプリングで閉じるカバーがもうけられている。
その隣には、ロケット組み立て後に作業員が中にはいるための大きなアクセスドアがボルトで止められている。
環境制御システム:Environmental Control System
ECS(環境制御システム)は、IUとS-IVB上部に納められた機器を冷却する。
IUとS-IVB上部には、全部で16個の"cold plate"と呼ばれる冷却板が取り付けられている。
この中には、60%のメタノールと40%の水でできた不凍性の冷却液が、IU内部のリザーバータンクから供給されている。
打ち上げ前は、冷却液の冷却は、地上施設により行われる。打ち上げ約163秒後、IUに搭載された昇華式熱交換機が作動開始する。
誘導コンピュータや飛行制御コンピュータ、ST-124-Mシステムなど、とくに高熱を発生する装置には、
より効率的に冷却を行うため、機器内部にも冷却液が循環している。
冷却液と水は、窒素ガスによって循環させられる。
誘導・飛行制御:Guidance and Control
IUの誘導/飛行制御コンピュータは、ロケットの位置、速度、高度、エンジン出力を制御する。
このコンピュータの主要な構成要素は、ST-124-M:慣性プラットフォーム、
LVDC(Launch Vehicle Digital Computer)、LVDA(Launch Vehicle Data Adapter)、
アナログ飛行コンピュータ、ジャイロである。
LVDCは制御の中心となるコンピュータシステムで、各種入出力機器(センサなど)がLVDA経由で接続されている。
これら制御装置は三重化されていて、どれか1つのシステムが他とは異なる計算結果を出力したときは、それは無視される。
さらに、LVDCのメモリは二重化されており、一方のメモリでエラーが検出されると、もう一方の内容で訂正される。
まず、打ち上げ前に、各パラメータがLVDCにセットされる。
打ち上げ約5秒前に、慣性プラットフォームとLVDCが地上機器から切り離される。
ロケットが上昇を開始すると、慣性プラットフォームが加速度と姿勢を感知、計測し、それをLVDA経由でLVDCに送り込む。
LVDCはこれらの情報から、ロケットの打ち上げからの相対位置、速度を割り出す。
そしてメモリに記憶されていた姿勢と実際の姿勢の差分を知り、姿勢を制御するための信号を生成する。
この姿勢制御信号はアナログ飛行コンピュータに送られ、ジャイロの情報も参考にして、エンジンのジンバル制御を行う。
この制御は約2秒間隔に行われる。
ロケットが大気中を上昇しているときは、誘導システムは、大気の圧力が最も小さくなるように姿勢制御を行う。
また、S-IC、S-IIの切り離しタイミングは、燃料の残量を元にIUが指示する。
S-IIによる飛行中は、 LVDCが、ミッションにもっともふさわしい飛行コースをとるよう制御する。
地球軌道周回中には、地上からの指示で、LVDCの誘導情報を更新することができる。
計測機器:Instrumentation
次回のミッションの参考にするため、ロケットの動作、空気圧、騒音レベル、温度、振動、電圧、電流
など数百に上る項目についてセンサで計測され、テレメトリデータとして地上に送信される。
地上、大気圏飛行中、宇宙空間飛行中とミッションの進行にあわせ、計測するデータの種類は選択され、
その時々により重要なデータを送信する。
ステージ切り離し時、レトロ(逆噴射)ロケットが作動すると、その影響でテレメトリデータが乱れる。
このため、ステージ切り離しの間はデータは自動的にテープレコーダに記録され、後で送信される。
追跡システム:Tracking System
RFのパルス信号をSaturnVに向けて発信すると、IUに搭載されたトランスポンダがこれを受信し、
応答のパルス信号を返信する。
これを複数の地上局で受信することにより、ロケットの位置が確定できる。
SaturnVには、AZUSA、Cバンドレーダー、Sバンド コマンド & 通信システム の
3種類の追跡システムが搭載されている。これらを通して、IUに搭載されているコンピュータの
メモリダンプや書き換えなども行うことができる。
電源:Electrical System
打ち上げ前は、umbilical(へその緒)コネクタ経由で地上から電源が供給される。
そして打ち上げの約25秒前、IUに搭載された4台のDC28Vバッテリに切り替わる。
飛行中は電力消費を押さえるため、LVDCとLVDAが必要のない機器の電源を切る。
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